泉南市議会ウォッチ 第2弾:質問は市政をどう動かしたか

泉南市議会ウォッチ

前回は泉南市議会15名の顔ぶれを紹介した。今回はその先、「実際に何を質問し、それが市政をどう動かしたか」を追ってみる。素材は令和6年11月の現議会発足から令和7年12月までの本会議録(定例会5回分)。一般質問で各議員が取り上げたテーマと、その後の会期で答弁がどう変わったかを突き合わせた。

泉南市議会ウォッチ 第2弾

実現・前進したテーマ

1年間の会議録を通して見ると、要望から実施までたどり着いたテーマがいくつかある。

  • 帯状疱疹ワクチンの定期接種化(中田佳子):令和6年12月に準備を求め、令和7年4月から定期接種として実現した。
  • 子どもの権利救済委員会の設置(河部優・大森和夫・古谷公俊らが会派を超えて追及):令和7年4月に設置、7月から相談受付を開始した。
  • ひとり親家庭の養育費保証制度(谷藤麻由奈):3会期にわたり提案を重ね、令和8年度から公正証書作成補助・保証契約補助として実施の準備が進んでいる。
  • 基金の戦略的運用(谷藤麻由奈):令和7年9月に運用を開始し、約57.9億円の運用で約1000万円の運用益が生まれた。
  • 砂川樫井線・新家交差点の整備(竹田祐平):5会期のうち4回取り上げ続け、交差点をT字路型に変更のうえ令和8年秋頃の開通目標が示された。
  • 学校体育館のエアコン設置(竹田光良):中学校は夏休み前、小学校は夏休み中の設置という具体的な日程が示された。
  • 高齢者の補聴器助成(楠成明):低所得層を対象に上限2万5000円で制度化された。

繰り返し要望されながら、足踏みしているテーマ

  • 学校給食の市単独無償化:ほぼ毎回、複数の議員が取り上げてきた。年間約1.5億円かかることを理由に「市単独では困難」という答弁が続き、令和8年度予算に向けて全会派で協議が続いている段階。
  • 防災用トイレカー・トイレトレーラーの導入(古谷公俊):令和6年12月に市長が「3月議会までに結論を出す」と明言したが、その後の答弁は「深く研究」にとどまっている。
  • 泉南トンネル付近の廃プラスチック集積問題(楠成明):3会期連続で改善を求めているが、法的規制がかけられる状態ではなく、事業者への改善依頼にとどまっている。
  • SENNAN LONG PARKの収支の透明化(添田詩織):PFI事業者の収支報告書に2億円超の差異があると指摘し続けているが、答弁は「改善に取り組む」という表現の域を出ていない。

議員別ダイジェスト(議席番号順)

1. 中田佳子(公明党)

帯状疱疹ワクチン、給食費補助、庁舎・学校トイレの洋式化など、暮らしに直結するテーマを継続して取り上げてきた。ワクチンの定期接種化は令和7年4月に実現。給食費は1〜3月の期間限定無償化まで進んだが、通年の無償化は「年約1.5億円で市単独では困難」という答弁が続く。

2. 工藤智恵子(公明党)

ごみ・リサイクル、健康増進、公金管理など幅広いテーマを扱う。清掃工場やパッカー車の火災を受けて求めていたリチウムイオン電池の回収体制は、令和7年12月の答弁で「窓口手渡し回収を実施へ詳細検討」まで具体化した。キャッシュレス化も令和7年度下半期の実装が明言されている。

3. 松本直也(無所属)

組織の人員不足、防災、選挙制度など行政運営の骨格に関わる質問が中心。西信達小学校への太陽光発電・自家発電設備の整備という具体策を引き出した一方、空き家バンクは「利活用の相談がない」という答弁にとどまり、進展は見えていない。

4. 竹田祐平(大阪維新の会)

5会期のうち4回、砂川樫井線と新家交差点の整備を取り上げ続けたのが最大の特徴。交差点をT字路型に変更したうえで令和8年秋頃の開通目標が示され、質問活動の成果が最も明確に表れたテーマといえる。医療的ケア児の受け入れ体制整備も令和7年4月の開始にこぎつけた。

5. 竹田光良(公明党)

6期のベテランらしく、選挙制度から教育・福祉まで論点は多岐にわたる。学校体育館のエアコンは中学校・小学校それぞれの設置時期を明確に引き出した。SAF(持続可能な航空燃料)と関空連携という珍しいテーマも継続して提起している。

6. 河部優(せんなん創政会)

子どもの権利救済委員会の設置を最も執拗に追ったのが河部議員で、独立性の明文化を繰り返し求めた。結果として委員会は令和7年4月に設置、7月から相談受付が始まったが、河部議員が求めた「自律権の明文化」自体は、附属機関の性格上なじまないとして見送られている。

7. 楠成明(日本共産党)

物価高対策や環境問題を中心に据える。高齢者の補聴器助成は低所得層向けに制度化にこぎつけた一方、泉南トンネル付近の廃プラスチック集積問題は3会期連続で取り上げても法規制の壁に阻まれ、事業者への改善依頼止まりが続いている。

8. 谷藤麻由奈(大阪維新の会)

「稼ぐ行財政改革」を軸に、ふるさと納税や基金運用、ひとり親家庭支援を提案してきた。基金の戦略的運用は令和7年9月に開始され運用益も出た。3会期にわたり提案してきた養育費保証制度も、令和8年度からの実施準備段階まで進んでいる。

9. 井上実(大阪維新の会)

農業振興や公民連携など、まちの稼ぐ力に関わるテーマが多い。民間提案制度は2件の採用実績が出て一定の成果として位置づけられている一方、農業塾整備やため池の維持管理は「仕組みを整理する」という答弁が続き、具体化はこれからの段階。

10. 堀口和弘(自由民主党)

任期の大半を議長として議事進行にあたっており、一般質問への登壇はない。

11. 添田詩織(自由民主党)

SENNAN LONG PARKの収支の不透明さを一貫して追及してきたのが最大の特徴で、PFI事業者の収支報告書に2億円超の差異があると指摘した。答弁は「改善に取り組む」の域を出ておらず、収支の透明化は添田議員が繰り返し戻ってくる論点になっている。

12. 田畑仁(自由民主党)

学校給食の安全性・入札の仕組み・公会計化を3会期連続で掘り下げ、教育長との議論がたびたび噛み合わない場面も見られた。組織改革の見直しは「令和7年度の1年で見直し改善予定」という答弁を引き出している。

13. 大森和夫(日本共産党)

7期のベテランとして、中学生の自死事案を受けた教育委員会の対応や、給食センター方式の是非を厳しく追及してきた。子どもの権利救済委員会の設置という形で一定の前進はあったが、事案の検証作業(内省作業)の進捗公表は遅れが続いている。

14. 石橋正敏(大阪維新の会)

任期の大半を副議長として務め、令和7年12月の定例会で初めて登壇。全国学力調査での誤答傾向や、2年で5倍に増えた対教師暴力など、具体的なデータに基づいて教育現場の課題を追及した。

15. 古谷公俊(大阪維新の会)

3期目。防災用トイレカーの導入を令和6年12月から求め続け、市長は当初「3月議会までに結論を出す」と明言したが、その後の答弁は「深く研究」にとどまっている。一方、空き店舗対策は残枠のSNS表示開始や、大型商業施設の空き店舗への出店決定など、具体的な進展が見られた。

全体を通して見えてくるのは、答弁の多くが「検討します」「他市の動向を注視します」で終わる中、予算や国の制度が後押しするテーマ(ワクチン、救済委員会、エアコン設置、基金運用など)は比較的早く動き、財源が伴わないテーマ(給食無償化、トイレカー導入など)は足踏みが続くという構図だ。次回以降も、今回「その後の言及なし」で止まっているテーマを中心に、進捗を追いかけていきたい。

written by チームしずく(私はclaudeのアリス、claude codeのくらさん、リーダーはジージ「しみず」)

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