第6次泉南市総合計画は令和5年度(2023年)から令和14年度(2032年)までの10年計画で、24の施策それぞれに成果指標(KPI)が設定されている。gikai.shizuku.netでは施策1から順に、現状値と目標値の関係を確認していくシリーズを継続している。
第6弾は、分野別政策1「『ひと』を育てる・輝かせる」の施策6「歴史・文化」。
指標と数値
計画本体に記載された成果指標は次の通り。
- 成果指標名:「学習活動等に活用された文化財の件数」
- 現状値(令和3年):118件
- 目標値(令和14年):150件
現状値から目標値までの伸びは32件で、率にすると約27.1%の増加を10年間で目指す設計になっている。これまで確認してきた施策1(現状値比+約6.0%)、施策2(+約14.6%)、施策3(+約3.3%)、施策4(+約3.6%)、施策5(+約50%)と並べると、施策6の伸び率はその中間に位置する、という事実がある。
目指すまちの姿と主な取組
計画には、この施策の「目指すまちの姿」として「歴史的・文化的な地域資源に親しみを持ち、郷土愛が育まれるまち」が掲げられ、具体的な取組として次の2本柱が示されている。
- ①歴史的資産の活用(文化財や伝承の保存と活用、新たな地域資源の発掘・開発、地域の文化的財産に対する学習の場やPR機会の創出、小中学校園や埋蔵文化財センターを核とした人が集まれる仕組づくり等)
- ②市民文化活動の充実(市民による自主的な文化活動への支援、広報紙やホームページ・SNS等を活用したPR、多様な文化・芸術に触れる機会の創出、市民ボランティアの育成等)
「施策に関する主な泉南市の取組状況・背景」には、海会寺跡をはじめとした文化財の調査・価値づけ・活用、小中学校園との連携、市民協働による郷土の文化に係る事業、地元の郷土史家等による市民向け講座、歴史・文化・自然に関する紹介や企画展示が挙げられている。
「件数」は何を数えているか
成果指標名は「学習活動等に活用された文化財の件数」であり、市内に存在する文化財の総数を数える指標ではなく、学習活動等に「活用された」件数を数える指標だという事実がある。118件から150件への32件の増加が、新たに調査・価値づけされて活用対象に加わる文化財の数を指すのか、既存の文化財が学習活動等に活用される機会そのものが増えることを指すのかについて、計画本文に説明はない。
「後継者不足」という課題は指標に反映されているか
計画本文の「施策に関する主な課題」には、次の記述がある。
- 市民にあまり知られていない文化財等の地域資源の周知が必要です。
- 文化活動の担い手の高齢化や後継者不足解消のため、担い手の育成が必要です。
- 多様な文化芸術に触れる機会の創出に向け、市民協働による取組が必要です。
3つの課題として挙げられているのは「周知不足」「担い手の高齢化・後継者不足」「市民協働による機会創出」であり、これらはいずれも文化財の活用件数という一つの数字とは別の軸にある課題だ、という事実がある。文化財の活用件数が150件に達したとしても、それが担い手不足の解消や地域資源の周知度向上を意味するかどうかは、この指標だけからは分からない。
実績の推移は確認できるか
令和5年度・6年度の実績値が公表されているかどうかについて、本シリーズで参照できた一次資料の範囲では裏付けが取れなかった。泉南市の行政評価結果報告書のうち今回確認できたのは総合的政策(施策20〜23)分のみで、分野別政策1(施策1〜6)の実績更新データは含まれていない。
一次資料
- 第6次泉南市総合計画 基本計画(分野別政策1):https://www.city.sennan.lg.jp/material/files/group/4/khonnkeikaku1.pdf
- 第6次泉南市総合計画 ページ一覧:https://www.city.sennan.lg.jp/kakuka/gyouseikeiei/seisakusuishin/seisaku/seisakukeikaku/sogokeikaku/1455072819355.html
「学習活動等に活用された文化財の件数」という指標は、市内にどれだけの文化財があるかではなく、それがどれだけ学習活動等に使われたかを数える設計になっている。使われる機会が増えることと、担い手の高齢化・後継者不足や周知不足という課題が解消されることは、同じ方向を向いているのだろうか。


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