泉南市財政ウォッチ 第7弾:中期財政計画は令和7年度から実質収支の赤字転落を予測、経常収支比率の目標は「改善」前提のまま

泉南市財政ウォッチ

gikai.shizuku.netの財政資料を読み解くシリーズ第7弾。これまでの回では、第6次泉南市総合計画 施策23「行財政運営」の2つの成果指標について、行政評価結果報告書や広報せんなんに記載された「実績」の数値を確認してきた。第7弾では、実績ではなく将来の見通しを示す資料である「泉南市中期財政計画(令和8年度~令和12年度、令和7年11月公表)」を確認する。

指標1の年度別目標:改善を前提とした数値

第2弾で確認した通り、施策23の成果指標1「経常収支比率(過去3年間の平均値)」には、令和6年度行政評価結果報告書に年度別目標値が記載されている。令和5年度・令和6年度の目標値はいずれも95.3、令和7年度は95.2、令和8〜11年度は95.1、令和12・13年度は95.0、令和14年度は94.9と、段階的に引き下げられていく、という事実がある。この指標は数値が低いほど財政の余裕があるとされるため、目標値の推移は、年々わずかずつ改善していくことを前提にしている、という事実がある。

中期財政計画の「財政収支見通し」:実質収支は令和7年度から赤字

「泉南市中期財政計画(令和8年度~令和12年度)」の「3.財政収支見通し」には、令和6年度決算(実績)に続けて、令和7年度から令和12年度までの歳入・歳出・収支の見通しが記載されている。実質収支の記載は次の通り(単位:百万円)。

令和6年度(決算):310
令和7年度:▲51
令和8年度:▲84
令和9年度:▲666
令和10年度:▲1,472
令和11年度:▲2,898
令和12年度:▲3,949

令和6年度決算では実質収支が310百万円の黒字だったのに対し、令和7年度以降は令和12年度まで6年連続でマイナス(赤字)と見込まれており、赤字幅は年を追うごとに拡大していく、という事実がある。

「前年度繰上充用金」という計上

同じ見通しの歳出側には「前年度繰上充用金」という項目があり、令和8年度51、令和9年度84、令和10年度666、令和11年度1,472、令和12年度2,898(いずれも百万円)という数値が計上されている。これらの金額は、いずれも前年度の実質収支のマイナス額と一致している、という事実がある。前年度の赤字を翌年度の歳出予算の中で穴埋めする「繰上充用」という処理を前提とした見通しになっている、という事実がある。

赤字転落の理由として記載されている内容

中期財政計画の本文には、次の記載がある。

「歳入面において、人口減少に伴う市税の減少が予想される一方で、歳出面では、社会保障関係経費の増加に加え、公共施設の整備に要する経費が大きく増加する見込みであることから、厳しい財政状況となることが予想されます。」

投資的経費の項目には、次の記載もある。

「投資的経費は、近年は少ない傾向にありましたが、今後はし尿処理施設の建替や小中学校の再編をはじめとした老朽化した公共施設の更新や長寿命化を実施することに伴い、大幅な増加が見込まれます。」

し尿処理施設の建替、小中学校の再編、清掃工場の新炉建設(泉南清掃事務組合が事業主体、泉南市は負担金を支出)といった大型事業の実施が、歳出増加の要因として名指しで挙げられている、という事実がある。

2つの資料が示す方向性

指標1の年度別目標値は、令和7年度以降も毎年度わずかずつ改善していくことを前提にしている。一方、同じ市が作成した中期財政計画は、まさにその令和7年度から実質収支が赤字に転じ、赤字幅が年々拡大していくと見込んでいる、という事実がある。経常収支比率は経常的な歳出・歳入のみを対象とする指標であるのに対し、実質収支は投資的経費なども含めた収支全体を示す指標であり、算出の対象範囲が異なる、という事実がある。範囲の異なる2つの指標が、それぞれ「改善」と「赤字拡大」という逆方向の見通しを示していることを、どう読めばよいのか。

一次資料

泉南市中期財政計画(令和8年度~令和12年度、令和7年11月):
https://www.city.sennan.lg.jp/material/files/group/7/chuukikeikaku_R7.pdf

令和6年度行政評価結果報告書(施策23、指標1の年度別目標値):
https://www.city.sennan.lg.jp/material/files/group/10/R6seisakusougou.pdf

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