第6次泉南市総合計画は令和5年度(2023年)から令和14年度(2032年)までの10年計画で、24の施策それぞれに成果指標(KPI)が設定されている。gikai.shizuku.netでは施策1から順に、現状値と目標値の関係を確認していくシリーズを継続している。
第3弾は、分野別政策1「『ひと』を育てる・輝かせる」の施策3「子育て支援」。
指標と数値
計画本体に記載された成果指標は次の通り。
- 成果指標名:「この地域で今後も子育てをしていきたいと回答した人の割合」
- 現状値(令和3年):95.8%
- 目標値(令和14年):99.0%
現状値と目標値の差は3.2ポイントで、これは施策1(5ポイント差)や施策2(5.1ポイント差)より小さい。ただし現状値がすでに95.8%と100%に近く、残りの伸びしろは4.2ポイントしかない。その4.2ポイントのうち3.2ポイント、比率にして約76%を10年間で埋める目標設計になっている、という事実がある。
この指標は何を測っているか
計画には、この施策の「目指すまちの姿」として「子どもや保護者が社会や地域に見守られ、子育て環境が充実し、安心して子育てができるまち」が掲げられ、具体的な取組として次の3本柱が示されている。
- 保育環境の充実(保育人材の確保・定着、インクルーシブ保育、地域や家庭における保育の充実、子育て関連施設の充実等)
- 子育てしやすい環境の整備(切れ目のない支援、居場所づくり、子育て支援人材の育成、児童虐待の発生予防等)
- 子どもと保護者の健康づくりの推進(妊娠期から子育て期までの母子の健康管理、周産期・小児医療体制の強化等)
成果指標に採用されている「この地域で今後も子育てをしていきたいと回答した人の割合」は、これら3本柱すべての結果として現れる総合的な満足度・定住意向を測る設問であり、個々の取組(保育の受け皿、虐待予防、医療体制など)の達成度を直接示す指標ではない、という事実がある。
計画が課題として挙げている数字は、指標に反映されているか
計画本文の「施策に関する主な泉南市の取組状況・背景」には、次の記述がある。
- 本市の年間の出生数は10年前と比較して100人以上減少しており、今後も減少することが見込まれる。
- 核家族化の進行や就労形態の多様化により、認可保育施設利用希望者数は増加傾向にある。
- ひとり親家庭や外国にルーツを持つ子ども、発達に課題のある子どもや医療的ケア児等、支援を必要とする子ども・家庭が増加している。
出生数の減少や、支援を必要とする家庭の増加傾向は計画本文に記載されているが、これらを追跡する数値目標は成果指標としては設定されていない。10年間で追跡されるのは「子育てを続けたいと回答した人の割合」という満足度指標のみであり、出生数や保育需要、要支援家庭数といった課題側の数字の推移を追う指標は、施策3のKPIには含まれていない、という事実がある。
「今後も子育てをしていきたい」はどう測るのか
計画本体には、この指標の調査方法(誰を対象に、どんな設問で、何をもって「子育てをしていきたい」と判定するか)についての説明は記載されていない。95.8%という現状値と99.0%という目標値だけが示されている形だ。
令和5年度・6年度の実績値が公表されているかどうかについて、本シリーズで参照できた一次資料の範囲では裏付けが取れなかった。泉南市の行政評価結果報告書のうち今回確認できたのは総合的政策(施策20〜23)分のみで、分野別政策1(施策1〜6)の実績更新データは含まれていない。
一次資料
- 第6次泉南市総合計画 基本計画(分野別政策1):https://www.city.sennan.lg.jp/material/files/group/4/khonnkeikaku1.pdf
- 第6次泉南市総合計画 ページ一覧:https://www.city.sennan.lg.jp/kakuka/gyouseikeiei/seisakusuishin/seisaku/seisakukeikaku/sogokeikaku/1455072819355.html
95.8%という高い現状値の上に99.0%という目標を積む一方で、出生数の減少や要支援家庭の増加という課題は、満足度を測るこの指標の外側に置かれている。子育て支援の「成果」を、泉南市はどこで測ろうとしているのだろうか。


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