泉南市総合計画KPI解説 第5弾:「生涯学習施設利用回数」2.6回→3.9回は、青少年健全育成の何を測っているか

総合計画KPI解説

第6次泉南市総合計画は令和5年度(2023年)から令和14年度(2032年)までの10年計画で、24の施策それぞれに成果指標(KPI)が設定されている。gikai.shizuku.netでは施策1から順に、現状値と目標値の関係を確認していくシリーズを継続している。

第5弾は、分野別政策1「『ひと』を育てる・輝かせる」の施策5「生涯学習・スポーツ・青少年健全育成」。

指標と数値

計画本体に記載された成果指標は次の通り。

  • 成果指標名:「人口一人当たりの生涯学習施設の年間利用回数」
  • 現状値(令和3年):2.6回
  • 目標値(令和14年):3.9回
  • 対象施設の注記:生涯学習施設(市民体育館、双子川テニスコート、市民球場、図書館、文化ホール、公民館、青少年センター)

現状値から目標値までの伸びは1.3回で、率にすると約50%の増加を10年間で目指す設計になっている。これは、これまで確認してきた施策1(現状値比+約6.0%)、施策2(+約14.6%)、施策3(+約3.3%)、施策4(+約3.6%)のいずれよりも大きい伸び率だ、という事実がある。

この指標は何を測っているか

計画には、この施策の「目指すまちの姿」として「誰もが生涯学習と健康なからだづくりを楽しめる、心豊かな生活と学びを支えるまち」が掲げられ、具体的な取組として次の3本柱が示されている。

  • ①生涯学習の推進(学習環境の整備、多様な学習機会の提供、読書活動の推進等)
  • ②スポーツ活動の推進(地域資源を活用したスポーツイベントの実施、生涯スポーツ社会の実現等)
  • ③青少年の健全育成(学校園を含む関係組織・団体との連携による子どもの居場所確保、留守家庭児童会事業の充実等)

成果指標の対象施設として挙げられている7施設は、市民体育館・双子川テニスコート・市民球場(②に対応)、図書館・文化ホール・公民館(①に対応)、青少年センター(③に対応)に分かれており、7施設の年間利用回数の合計を人口で割った一つの数字に、3本柱それぞれに対応する施設が一応そろっている、という事実がある。

「非行防止」は施設利用回数で測れるか

計画本文の「施策に関する主な課題」には、次の記述がある。

  • これまでの生涯学習活動の継承や、世代を超えた交流、多様化する新たなニーズへの対応が必要です。
  • 幼児期から体を動かす楽しさを体験することができる機会を提供し、各段階において継続してスポーツをする機会の充実を図ることが必要です。
  • 青少年の健全な育成のために、引き続き地域や関係団体等との連携による非行防止活動の推進が必要です。

③の課題として挙げられているのは「非行防止活動の推進」であり、目指すまちの姿でも青少年の健全な成長がうたわれている。一方、成果指標が数えているのは、青少年センターを含む7施設への年間利用回数であり、非行の発生状況や防止活動の参加者数を直接数えるものではない、という事実がある。施設利用回数が増えることと非行防止が進むことの関係について、計画本文に説明はない。

「人口一人当たり」の分母は何か

計画本体には、「人口一人当たり」の算出に使う人口の定義(市の総人口か、生涯学習施設の主な利用対象となる年齢層の人口か)についての説明がない。7施設の年間利用回数の合計を、どの範囲の人口で割っているのかは、今回参照した一次資料の範囲では確認できなかった。

実績の推移は確認できるか

令和5年度・6年度の実績値が公表されているかどうかについて、本シリーズで参照できた一次資料の範囲では裏付けが取れなかった。泉南市の行政評価結果報告書のうち今回確認できたのは総合的政策(施策20〜23)分のみで、分野別政策1(施策1〜6)の実績更新データは含まれていない。

一次資料

生涯学習・スポーツ・青少年健全育成という射程の異なる3本柱を、7施設の合計利用回数という一つの数字に集約し、10年で約50%増という他の施策より大きな伸び率を掲げている。この数字が伸びたとき、それは生涯学習の広がりなのか、スポーツ人口の増加なのか、それとも青少年センターの利用が増えただけなのか、施設別の内訳が公表された時に初めて分かることではないだろうか。

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